この写真展、 「Macchine da Assedio 〜攻城 月の影見ゆ〜」は、日伊文化協会、「源の会」会
長カルロ・ロマーリオの発案により、ミラノ在住日本人写真家,ニシカワ ヨシエが2年間かけて
撮影した 10 枚の写真である。
15 世紀から 17 世紀前半の間に、イタリアでは激しい戦いが 120 回あり、さらに 107 回も攻城が
繰り返された。そのうちの 50 回が15 世紀に集中している。ルネッサンス最盛期、偉大な画家た
ちが教会や宮殿の壁をフレスコ画で飾り、有能な建築家たちが権力者たちの優美な館を建造して
いる一方で、夥しい数の兵士が戦場で戦い、あちらこちらで攻城の暴行と略奪が繰り返されてい
たのである。この写真展は、まさにこのような戦いの歴史があるトスカーナ南部が舞台である。
各被写体は写真言語のアルファベットや表現形、捕らえられ強弱を明瞭にされた光のボリューム
などを駆使しながら、車と城塞はかつての戦いを彷彿させるかのように配置されているのだ。
ニシカワ ヨシエは、ここでも、彼女の活動発展の基本要素であり、日本文化を根源とする、「光
と影」「月と時」というテーマを展開している。写真の言語コードを通して、一見相反する「車
と城塞」、「包囲軍と籠城軍」から、融和的解決ではないし、そうなることは求められていない
が、「光と影」「月と時」を劇的に表現する自然な構成を見ることができる。
トスカーナ在住作家
エルマンノ・ピンツィ Ermanno Pinzi